海帰
海が見えたら そっと手を取って 軋む桟橋をあなたと歩いたね 欄干の上で 頬杖ついた あなたはまるで 掴めない夏の星 宵闇を辿る瞳は 信じることに怯え 疑うことに慣れても その横顔は まだ夜明けを待っている 震える肩を 慰めるように抱くように 波が揺れたら...
Cocoon
2018年3月作 若さというものは時に煩わしく忌々しいしがらみのようなものです。 しかし遠からずその若さが緩やかに私を手放した時、真っ直ぐにふらつかず歩くことが出来るのでしょうか。 若さというのは枷であると同時に添え木なのかもしれません。...
時の馬、翔る夜
2017年10月作 この世に生を受けて二十余年。 まだまだ若輩者、だけどまずまず生きた者として最近思うこと。 「人生って思ったより長え、、、」 ということ。 もし小説や演劇の世界ならばハイここで大団円!グランドフィナーレ!カーテンコール!といきそうな場面でいつも灯りがパッと...
確固たる曖昧さについて
今日はリリイ・シュシュの「エーテル」を聴いていた。 とても好きな曲。 元々映画「リリイシュシュのすべて」がとても好きなのだけど、この曲は映画が公開された2001年から9年を経た2010年に発表されていて、動画のコメント欄を見てみると年月の経過による変化に対する拒絶的な意見が...
“Echo”
2017年9月作 小さな頃から「哀れな怪物」みたいなものになぜかずっと惹かれるのです。 元は人間だったのに孤独で過酷な環境下で怪物と化してしまったウルトラ怪獣のジャミラとか 強大な力が自分自身を上回り自己制御できなくなってしまうAKIRAの鉄雄とか...
ao.
2017年8月12日に代々木Barbaraで開催された水瑛ミニアルバム[ao.]リリースパーティー 「宇宙のきまぐれ」のアンコール時に演奏した曲です。 この曲はアルバムタイトルを決めた後に自然に生まれてきた。 沢山の出会いがある程一瞬の別れが重くのしかかり生涯胸の底にこびり...
リタルダンド
2017年7月頃作 私は今や 七百万年の文明の 一番端に立ち こみ上げる時代に怯えている 忘れられる間もなく 出会う事もなく 誰も知らないまま ひとつ、ふたつ 落ちた星の骸から 生まれた砂は 浜辺の墓標 しがみついた手を払うように 百億の時が速度を速めても...
アルバム名と企画名について。
どうも 水瑛です。 先日Twitterにて8/12にリリース予定のミニアルバムのタイトル、及び同日に開催予定のリリースイベントの企画名を発表させていただきました。 その名もどどん アルバムタイトル 【ao.】 リリースイベント企画名 「宇宙のきまぐれ」 です。...
蕪のお漬け物と神様
冷蔵庫の野菜室には放置したままのカブがあった。 頂き物で泥のついた状態かつまあまあな量があったため、なんとなく処理に悩んだまま長らく放置するに至ってしまった。 しかしそろそろどうにかせねばと野菜室を開け確認したカブからは腐りゆくのを甘んじて受け入れ始めたような諦念を感じてし...
眠れぬ孤島は船を待つ
2017年5月制作 三島由紀夫の「潮騒」を読んだ。 孤島に暮らす若い男女が密かに惹かれ合う、という言ってしまえばいわば王道的な大筋よりもその文章の美しさにただただ嘆息するのみであった。 夜の闇に揺れる海面の、嵐の日にしなる梢の描写のなんと美しいことか。...