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Words.

海帰

海が見えたら そっと手を取って

軋む桟橋をあなたと歩いたね

欄干の上で 頬杖ついた

あなたはまるで 掴めない夏の星

宵闇を辿る瞳は 信じることに怯え

疑うことに慣れても その横顔は

まだ夜明けを待っている

震える肩を 慰めるように抱くように

波が揺れたら

もう二度と奇跡などなくても

良いと思えた あの夜へは

もう帰れない

透明な君の ガラスのような

姿越しに遠い夢を見ていたよ

僕の預けた 熱はあまりにも

激しくいつか 粉々に割れたガラス

宵闇を辿る瞳は 数え切れない過ち

搔き消す術を探れど ただ時だけが

冷たく流れ流れ

震える肩を 慰めるように抱くように

波が揺れたら

もう二度と奇跡などなくても

生きていくから 今は少しだけ

ここにいたい

波がさらう

幾つもの帰れない夜よりも

遠く

深く

広がる

震える肩を 慰めるように抱くように

波が揺れたら

もう二度と奇跡などなくても

なくても

なくても

震える肩を 慰めるように抱くように

波が揺れたら

もう二度と会えなくても

生きてゆくよ


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