凋む月
2016年11月作
11月の初めにバスに乗りながら外の白い空を眺めていた時に浮かんだ曲です。
「凋(しぼ)む月」とは暗に11月の事でして、実は11月は私の誕生月なのです。
(因みに祝われるのは苦手なので明確な生年月日は記しません)
11月は「霜月」とも言いますが、それは
凋む月→霜月となったのではないかと言う説があるのだそうで。
(諸説あり)
「凋む月」という言葉から漂うダウナーな雰囲気がまさに11月そのものだと感じ、今曲のキーワードとしました。
今となっては何が明確な原因か分かりませんが、私は物心ついた頃からずっと自分という存在の「異物感」を否めずにいました。
何をしていても誰といても、自分だけがこの世界の何処にも当て嵌っていないような感覚。
何にも誰にも祝福されていない癖にのうのうと存在してしまっている罪悪感(ある意味ではかなり自己中心的かつ自意識過剰とも言える)。
そしてそれは今でも消えた訳ではありません。
ですが不思議と11月特有の寂寥感、ひんやりと研ぎ澄まされた空気、本格的な冬の前の静けさの中にいる時。
その時だけは私はこの世界にすっと溶け込んで行けるような、「ここで生きていても良いんだ」とそう思えるような気になるのです。
無論自分の誕生月だからということが大きいのでしょうが、11月生まれということ自体、私の人格形成に大きな影響を与えているのかもしれないなと感じました。
まあ、言うなればセルフバースデーソングですね。
そんなハッピーな感じじゃないけど、案外悲しいばかりでも無いのですよ。
『凋む月』
純度100の孤独は冷たい空気に
研ぎ澄まされ尚も美しく光り
私を優しく包み込み
やがて息の根を止めるだろう
飲み干せないまま倒した
瓶から零れるのは
古ぼけた甘く苦いブルー
酩酊の中 いっそこのまま
眠りの奥 沈めるのならば
笑う程に虚しいのは
強くあろうとする程脆さ思い知るのは何故?
きっと私は
もうあなたの
手にも負えない
凋む月よ
その身を蝋のように溶かして
切れ切れの世界を繋いでおくれ
お前の出づる夜だけはこの命さえ
祝福されたものだと
そう思えるよ
凋む月よ
その身を もっと近くへ
お前だけが私の友
私の想いびと
私の母なる女神
凋む月よ
その身を蝋のように溶かして
切れ切れの世界を繋いでおくれ
お前の出づる夜だけはこの命さえ
祝福されたものだと
そう思えるよ