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Words.

月の揺り籠


『月の揺り籠』

声が聞こえる あれはきっと月の鳴き声

やがて月は割れ 光は海へ零れて行く

透明な殻に なった月はまるで

今の私を 映したようで

かなしみはとめどなく 降り積もり私は生き埋め

もう涙も干涸びて 心は呼吸を止めた

息だけして私はまるで体温だけ

残した死体だ

捨て場所の無い 夢の中で私はずっと

繰り返す朝と夜を 眺めているだけ

近寄る程遠い明日に 瞳の光も枯れ果てて

もう何も見えないでも まだ心は呼吸を求めて

息さえしていればどんな道に迷っても

生きてさえいれば また月は照らしてくれる

息だけして私はまるで体温だけ

残した死体だ

でも

息さえしていればどんな道に迷っても

生きてさえいれば

また月は照らしてくれる


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